第31回の演技のレッスンを受けて

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今日は、5月25日(木)第31回「オセロー」の、演技のレッスンのリポート&感想を、つづらせていただきます。
(なお、第29回第30回のレッスンは、参加希望者が私1人だったという理由で、中止になりました。)

先ず、ウォームアップとして、いかようにも解釈出来る 1行の極めて短い9行のダイヤローグを、ありとあらゆるシチュエーションで、お勉強しました。
・同窓会の立食パーティー会場で、30年ぶりに出逢った二人。
・お互いに、やたら、い〜い香りがしている二人。
・揺れる吊り橋の上で、出逢った二人。
・都会のドブネズミの2匹。
・象に踏まれつつ、会話をするネズミ2匹。
・1人がろくろ首になって、会話をする二人。
・1人が豚鼻、もう1人がアヒル口になって、会話をする二人。
等々々、、、
進む毎に、どんどん難易度が上がり、先生に「そうじゃない!そんな程度じゃ、そのシチュエーションに聞こえない!」と、バシバシダメ出しを受けました。
でも、難しかったけれど、とても面白い課題でした。

次に、イアーゴーという、ずる賢い家来の登場人物の、1ページ近くの長台詞を、素読み(感情を入れない読み方)でやりました。
私は、いつもの様に、滑舌の悪さを指摘され、特に、家来の「け」、利用の「り」、主人の「しゅ」、カラスの「カ」、突っつかせるの「つっ」、ロダリーゴー、イアーゴー、ムーアなどの、人名、人種名を、もっと明確に言うようにとの事でした。
私自身、滑舌は、最も苦手とするところで、その悪さは十二分に自覚しているので、案の定、、、といったご指摘でした。
そして先生は、「富士山でいうと、5~6合目辺りまで来たところだね」と仰いました。
滑舌、悪いながらも、少しは進歩しているんだなあと思いつつ、自主練で、もっともっと鍛えなければいけないな、頑張ろう!と、拳を固くしました。

最後は、オセローと彼の愛妻・デスデモーナのダイヤローグの、オセローが、イアーゴーが仕組んだ罠だと気づかずに、デスデモーナが浮気をしたと思い込み、家に帰り、デスデモーナに「殺す!」と詰め寄る件りをやりました。
私は、オセロー役もデスデモーナ役もやったのですが、両役とも、これから殺してやる!これから殺される!の、緊迫感が薄い!と、ダメ出しをされました。
自分が過去に体験していない事、実体験ではなくとも目の前で観察した事のない出来事を、リアリティを持って、その感情になり、発するのは、難解だな、と感じました。
でも、先々、またこのテキストが来た時は、少しでも、今回の先生のご指示に近づける様にしたい!と思いました。
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又、家で1人でテキストを読んだだけでは気づけずに、先生のご説明で、目からウロコだった所も、何箇所もありました。

私はてっきり、オセローが家に帰ってきた辺りはゆっくりで、徐々に早くなり、クライマックスの殺人シーンで、最もテムポが早くなるのだと解釈していたら、先生は、「逆!逆! だって、観客は、一番どこが観たいの?殺人シーンでしょ。 だから、殺人シーンにたっぷり時間を使って、それ以前は、トントントンと早くやらなくちゃ」と。
なるほどー!確かに、一番観たいシーンは、たっぷり時間を取って観せてほしいぞ! その前がもったりしていると、退屈するよな、と、大きく頷きました。

それから、オセローの「今夜の祈りはすませたか、デスデモーナ?」という台詞があるのですが、この「今夜の祈り」は、普段の日日の祈りと殺される前の懺悔とのダブルミーニングであるので、ダブルミーニングだという事を観客に解らせる様な言い方をしなければならない事。
ここも、私1人で読んだ時は、前者の祈りしか読み取れませんでした。

あと、やはりオセローの台詞で、「黙れ!静かにするのだ!」の「黙れ!」の意味には、しのごの言ってないで早く懺悔をしろ! 早く殺させろ! 外に人がいるから聞こえてはまずい、等、幾つもの意味が込められているので、「黙れ!」の一言で、その全ての意味を表すように言う事。
これも、私は単に、その前のデスデモーナの5行の台詞を打ち切るだけの意味だと解していたので、あー、まだまだ読み込みが浅かったな、これだけ(1ページ)の件りにも、こんなに深い意味が幾つも詰め込まれていたのか! やはり、プロを教えるプロ中のプロの先生というのは凄いな!と、改めて尊敬し直しました。

今回のレッスンは、非常に難易度の高い事ばかりを求められた様に思います。
だけど、久しぶりのレッスンだったし、わくわくでスタジオ入りして、爽やかな気持ちでスタジオを後にした一日でした。
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この記事へのコメント

  • 溺愛猫的女人

    ありとあらゆるシチュエーションのレッスン、難しそうですがとても楽しそうです(*^^*)
    2023年06月06日 12:22
  • 八犬伝

    うう~ん、難しいですね。
    でも最後は、ぼんぼちぼちぼちさんが納得をされているのだから
    上手い教え方をされる先生なのですね。
    2023年06月06日 14:35
  • hana2023

    あらゆるシチュエーションとはいえ、後半5回は嫌でやす!状況に合わせるのが、難し過ぎますものね~~
    2023年06月06日 14:59
  • Boss365

    こんにちは。
    「オセロー」の演技レッスン、お疲れ様でした。ウォームアップの設定・シチュエーション、面白いですね。ところで、オセローの演技流れ「・・・それ以前は、トントントンと早くやらなくちゃ」なる程です。読み込み・解釈、難しそうですね!?(=^・ェ・^=)
    2023年06月06日 16:36
  • kiyotan

    難易度が高くなってきたのですね
    やりがいがありそうです。
    前向きな姿勢良いですね
    2023年06月06日 17:24
  • たいちさん

    ウォームアップのシチュエーションが面白くて、つい笑えてしまいました。
    2023年06月06日 17:54
  • リンさん

    すごく難しいことを勉強されるのですね。
    人間以外も演じるんですね。
    そして殺人シーンなんて、凄すぎる。
    私、お芝居が見たくなりました。
    2023年06月06日 17:56
  • フヂ

    シチュエーションのチョイスが、すごい!
    こんな場面、まず思いつかない~。
    難しいけど、ぼんぼちさんが楽しんで
    挑んでいるのが伝わって来ます。
    希望者が1人でも、マンツーマンで
    レッスンがあったらいいのに。
    2023年06月06日 18:58
  • ヨッシーパパ

    尊敬できる先生に師事して、やりがいがありますね。
    2023年06月06日 19:15
  • そらへい

    今、読んでいるエッセイ集の中に、久米明さんの ことばに命を吹き込むーー演劇と朗読ーー があり、そこで福田恆存訳・演出「ヴェニスの商人」の稽古で、台詞を他面的に読み取る機微を叩き込まれた。
    と言う下りがあり、ぼんぼちぼちぼちさんの事を思い出しました。
    2023年06月06日 19:28
  • JUNKO

    次元が違いますけど私も滑舌のトレーニングしています。齢をとったら確実に悪くなります。
    2023年06月06日 19:43
  • つぐみ

    難易度が高くなってもそれに挑むことが楽しめるっていいですね!
    尊敬できる先生だからこそでしょうし、出会えたことに感謝ですね。
    2023年06月06日 20:56
  • werewolf

    ありとあらゆるシチュエーション・・・難しそうだけど
    面白そうですね。
    でもあんまりダメだしされると凹むかもなぁ(^_^;)
    2023年06月06日 23:25
  • mau

    2回もレッスンが無くなるってなんかざんねんですね。こんなに面白そうなのに
    2023年06月06日 23:43
  • ぼんぼちぼちぼち

    みなさん

    コメントありがとうございやす。
    へい、今回のレッスンは、とても難しかったけど、最高に楽しかったでやす。久しぶりのレッスンだったというのもあり。

    様々なシチュエーションのは、えーっ?!そんなシチュエーションでもやるんだー!と、意表を突かれるのがいっぱいありやした。
    先生は、「いっぱい考えてきたんだからー」と、仰ってやした。
    一度目に、何のシチュエーションも与えられずに、つまり自分自分で考えてやった時、あっしはあるシチュエーションを考えてやったのでやすが、
    「説明のしすぎ」とダメ出しされやした。
    この課題に限らず、心はそうなって、決して、観てる人に「こういうシチュエーションなんですよ」と、解らせよう解らせようと説明してはいけないようでやす。
    レッスンが終わってから、「あー、あそこは、もっと、こうできたよなー」とあれこれ思ったりしやした。
    やる時って、「アナタはAの役、アナタはBの役、シチュエーションは○○で」とご指示があって、その二秒後にはやらなくてはいけないので、考えている時間というのがないんでやす。瞬時に浮かんできたことをやるしかないんでやす。
    でも、いつかまた、同じ課題が出たら、瞬時にもっとできるようになってよう、と思いやした。

    ここまで飛躍したシチュエーションではないのでやすが、シェイクスピアの台本で、○○なシチュエーションで、というご指示が出たことは過去に何度もありやした。
    こういう違うシチュエーションで勉強をする、というのは、大変重要なお勉強方法だそうでやす。
    久米明さんも同じことを書かれていたのでやすね。

    オセローの解釈は、先生のご説明あって、初めて、あー、こんなに深く意味のある作品なんだー!と解りやしたね。
    観客が観たい場面に一番たっぷり時間を使う、、、なるほどー!と深く納得しやした。
    このオセローという作品は、オセローが愛妻に嫉妬するのみならず、テキストにはならなかった部分でも、ありとあらゆる人間があちこちで嫉妬をし、つまり嫉妬がテーマの作品なのだそうでやす。
    あっしは、嫉妬という感情を持たない人間なので、何に置き換えて考えればいいんだろう?と、あれこれ考えてやす。

    そう、前回前々回と、2回、参加希望者があっし一人だったので、中止になってしまったんでやすよ。
    申し込み者が2名で、そのうち1名が直前の体調不良という理由で、レッスン生があっし一人になったことは、2度ありやす。
    そういう場合は開催されるけど、申し込み者が1名だけの時は中止になるようでやす。
    まあ、そこは、先生とプロデューサーさんのご判断で決まるので、あっしは、中止の日がないことを、ただただ祈るのみでやす。
    2023年06月07日 08:02
  • bgatapapa

    楽しみにしていたのが無くなるとがっかりしますね~(T_T)
    2023年06月07日 10:55
  • ムサシママ

    揺れる吊り橋の上で、出逢った二人。
    までは分かりましたがネズミがでてきて想像を絶する難易度を感じました
    その後、過去に経験をしていないことを発するのは大変・・・
    と言うことでネズミははて???って感じです
    2023年06月07日 13:18
  • ロートレー

    難解なお稽古なのに、実に前向きに没頭されているぼんちさん!
    充実した時を過ごされていることは幸せなことですね^^
    2023年06月07日 18:44
  • erena

    レッスンお疲れ様です!
    素晴らしいお稽古がぼんぼちぼちぼちさんの記事から伝わってきて
    レッスン記事 物凄くドキドキワクワクしてしまいます。
    2023年06月07日 20:22
  • HOLDON

    これ、と決めたら徹底的にやる・・・
    希望参加者が二度もご自分だけ・・・・
    やっぱりあなたはすごい方ですね~
    2023年06月08日 07:37
  • ぼんぼちぼちぼち

    みなさん

    ほんとに、吊り橋やネズミは、ものすごーく難易度高かったでやすよ。
    演技のレッスンだから、ジェスチャーやアニメみたいにやってはいけないんでやす。
    あくまでも、自分がそういうモノ、そういう場面に置かれていると想定しきらなければ。
    今回これだけ難しい課題をやってみたのだから、また先に、同じくらい難しい課題が出たら、今回出来なかったことを糧に、もう少しは出来るようにしようと、思ってやす。

    そうなんでやすよ、中止になると、ものすごーくがっかりでやす。
    でも、仕方ないでやすよね。それは主宰者側のご判断で決定されることだし、あっしは一レッスン生に過ぎないので。
    もしもまた、中止になったとしても、次があるさ!と、前向きに考えることにしてやす。

    うん、あっしは、アマチュアであることを続ける意思は少しも揺るぎないんでやすが、熱意、エネルギーはありやすよ〜!
    何故なら、プロの先生に厳しくきっちり演技をお習いしたい、と熱望したのが中1の時で、中1から強く思い続けていた夢が、50年近く経って、やっとやっとやーっと叶ったのでやすから。
    この間、私生活の事情があって、趣味を楽しむどころではなかったり、
    20年前にやっとアマチュアクラスのある研究所が見つかって、通い始めたら、めちゃくちゃな間違ったことばかりを教えられたり、(この20年前のアマチュアクラスの先生が、どれほどめちゃくちな考えで、めちゃくちゃな教え方をしていたかは、少し先の記事に書く予定でやす)
    それで、やっとこさの思いで見つかった、納得の出来る先生。
    まるで、青い鳥探しみたいでやした。
    50年でやすよ!50年!そりゃあ、熱心にもなりやすよ。
    だから今は、最高に楽しく、最高に幸せでやす!
    2023年06月08日 10:13
  • sakamono

    殺してやる! 殺される!の、緊迫感がを出すのは、かなり難易度が
    高いように思います^^;。ひと言のセリフに込められたいくつもの
    意味とか、見せたいシーンに至るまではテンポよく進めるとか、
    読んでいて、なるほどと思いました。
    2023年06月08日 21:23
  • JUNJUN

    演技のレッスン、高度過ぎて、ついていけません(笑)。
    1行の極めて短い9行のダイヤローグ、難しそう。
    特に最後の、1人が豚鼻、もう1人がアヒル口になって、会話をする二人。って(笑)。
    私も人が殺人を犯すときは、テンポが早くなるものだと思いますが、やはり演劇は興行ですものね。
    そのシーンは見せ場で、そこはじっくりやらないといけないですね。
    2023年06月09日 01:43
  • Rchoose19

    レッスンを重ねるごとに、どんどん難易度があがってくる。
    大変でもあり、やりがいもあるのでしょうねぇ~♪
    なにより講師の先生の引き出しの多さと、
    背景にある懐の深さみたいなものに尊敬を感じます。
    2023年06月09日 07:37
  • ぼんぼちぼちぼち

    sakamonoさん

    通常、もしも自分で体験していないことは、過去に人間観察をしていて、ああ、あの人、あの時こんなだったなあ、というのを演りやすが、こればっかりは、傍で見たこともないので、どんな感情になるのか、想像するしかないでやす。
    次回のレッスンもオセローなので、今から自主練して、もっとその感じが出るように、あれこれ考えてやす。
    2023年06月09日 09:41
  • ぼんぼちぼちぼち

    JunJunさん

    あっしは豚鼻の人のほうをやったのでやすが、もっとフガフガした感じで、豚っぽくできたよなあ、って、後になって思いやした。
    なかなか瞬発的にはできないものでやす。

    殺人シーンを一番たっぷり時間を取る、、、先生のご説明を聞いて、なるほどー、そういう理由なのかー、と、納得しやした。
    絵画でも、一番見せたい部分は、詳らかに描きやすからね。
    それと同じ理由なんだなあと、思いやした。
    2023年06月09日 09:48
  • ぼんぼちぼちぼち

    アルチューズさん

    いやあ、この日、ウォームアップもオセローも、ほんとに難易度高かったでやす。
    ここまで出来たね、と評されたら、すぐにもう一段階上のことを求められやす。
    今の先生は、納得できることばかりを教えてくださるし、何故そうなのか、何故そうするのか、を詳らかに説明してくださるので、とても解りやすいでやす。
    先生の中には、先生ご自身が理由が解らなくて答えられなかったり、質問に対して「どうしてもです」というお答えしかなさらない先生もいらっしゃいやす。
    やはり、納得してやるのと、何故そうやるのか疑問に感じながらやるのとでは、やる気にも違いがでてくるし、先生に対する尊敬度も違ってきやす。
    今の先生は、ほんとに解りやすく納得のできることを、詳らかに教えてくださる尊敬できる先生でやす。
    2023年06月09日 10:03
  • yokomi

    素晴らしいの褒め言葉でも足りないほどの凄い先生に出会えて良かったですね(^_^)v
    仕組まれた罠だとは知らず愛妻が浮気をしたと思い込み、家に帰り殺す....という場面は、佐伯泰英著「居眠り磐音」にも有りました(>_<)
    2023年06月12日 10:22
  • ぼんぼちぼちぼち

    yokomiさん

    ほんとうに納得できる先生に巡り会えて、良かったでやす。
    納得のできる先生に演技のレッスンを受ける、というのは、50年近く願い続けてきた夢だったので。
    これで、生きている間にあっしがやりたかったことが、全て叶いやした。

    日本の作家さんでも、似たようなシチュエーションのを書かれたかたがいらっしゃるのでやすね!
    オセローのほうが古いので、もしかしたら、オセローを参考になさったのかも?知れやせんね。
    2023年06月12日 10:36